おしゃれ、差別化、インパクト、ホームページのデザイン失敗あるある。参考デザインの探し方。
これからホームページを作ろうとするとき、一番気になるのはデザイン。あなたもそうですか?
当然ですよね。デザインといえば見た目です。ページを開いたときの第1印象を決めます。
安っぽいデザインだと「お金がないんじゃないの、この会社」と会社の信頼性にも影響しますし、ごぢゃごちゃ見苦しいとホームページを訪問してくれたお客様に嫌われてしまいます。
でも、注意したいのは「見た目が良くても売上には結びつかない」ということです。
ホームページを作る目的は、お問い合わせをもっと増やしたい、会社の認知を広げたいなどいろいろありますが、それらを一言にまとめれば「ビジネスとしての売上をアップさせたい」ということですよね。
単にきれいなデザインが売上をアップさせるなら、そんな簡単な話はありません。
実はホームページのデザインを考えるとき、一番大切なのはユーザー目線に立つことです。ユーザーとはあなたのホームページを訪れ利用する人のことをいいます。ユーザー目線に立ってないデザインは、いくら美しくても、売上には効果が出ません。
今回の記事では、そんなユーザー目線に立って、ホームページのデザインを考えることについてお話しします。
ユーザー目線のデザインを理解すれば、これから作るホームページにとって最適なデザインがわかり、売上に効果的なホームページを作れるようになれます。
「おしゃれ」で「差別化」された「インパクト」のあるデザインの失敗
デザインの失敗を理解するため、ある極端な例を持ち出したいと思います。
整体院の開業を目前に控えた院長様がホームページのデザインを決めました。
どんなデザインにしたのか、元になったウェブデザインは、ギャラリーサイトで見つけられた3つのデザインです。
参考にされた3つのデザインはどれも今風のお洒落なデザインで、見た目の印象は抜群です。画面の多くを美しい写真が覆い、さらにそれらの画像が複雑な動きでスライドショーを展開します。
誰もがひと目で「おっ」と驚く、文字通り「目を奪われる」デザインです。
文字の配置もファッション雑誌の1ページのようなレイアウトで特に英語の入ったキャッチコピーが、意味はわかりませんが、派手で目立ちます。
院長様がなぜこれらのデザインを参考にしたか理由をうかがうと、整体院のデザインはだいたいどこもダサい。どれも似ているし、これくらい違った方が差別化できるし、インパクトも出るはずだ。
つまりは、「おしゃれ」、「差別化」、「インパクト」とこの3つをキーワードにデザインが決まったわけです。
実は、ホームページのデザインがどうあるべきかを理解していない人の口から、これら三つのワードが出たときは、要注意です。
なぜなら、まったく売上に役立たない外面だけが良いデザインになってしまうからです。
おしゃれなホームページの何が悪い?
キャンプにおしゃれなスーツを着て行く人はいません。
就職活動の面接におしゃれなレインブーツを履いていく人はいません。
おしゃれの基準は人それぞれですが、単に見た目がいいからを理由でモノの使い方は決めないはずです。目的が先に存在し、その目的のために、見た目の良いものを選ぶのならわかります。
ホームページも同じです。先に目的があります。フォトグラファーが自身で撮影した写真を大きく見せたいなら、先の整体院の例であげた、写真で覆い尽くされたデザインでも理にかなってます。
しかし、本当に整体院のホームページにスライドショーやアニメーション付きの写真は必要でしょうか。整体院のホームページを訪れる人が知りたいことは、その整体院へ通えばどんなメリットが得られるかということのはずです。
肩こりや腰痛など症状に対してどんな技術を使って改善してくれるのか。それが表現されている写真であればまだしも、単におしゃれに見えるからを理由に写真を並べても、ユーザーの知りたい欲を満たすことはできません。
ユーザーの判断は一瞬です。このホームページには自分が求めている情報がないと判断すると、すぐに去っていきます。
もう一度冒頭の例を出します。
キャンプにスーツで行けば、当然、動きにくく泥だらけに汚れて、まわりの仲間から役立たずと白い目で見られてしまいます。面接にレインブーツで行けば結果は明白ですよね。
こんな馬鹿げた例はない? でもホームページの場合はよくあるんです。目的をおざなりに、見た目の良さだけを求めて、デザインを決めてしまうことが。
デザインを決めるとき、最初に考えるのは目的です。
目的を叶えるためのデザインはどういうものか、その視点で参考になるデザインを探してみてください。すると、なぜこのホームページはこのデザインにしているのかということを考えるキッカケになります。本当に参考になるデザインを見つけやすくなりますよ。
差別化の前に定番のデザインを理解する
他と違うデザインにしたい、これもデザインの初心者さんが間違ってしまうことです。極端にいえば、他と違うデザインにするよりも、売れているデザインを真似したほうがいいくらいです。
真似というと「パクリ」推奨と誤解されるので補足しますよ。決して他社のデザインをそのまま転用・盗用するということではありません。
ホームページのデザインには、各業種・商材で定番とよばれているものがあります。まずは定番デザインを理解し、そして、中身でオリジナリティを出して他社と差別化を狙うのです。
試しに「京都 整骨院」で検索してみました。エキテンやリスティング広告以外でヒットしたホームページへアクセスしてみます。デザインを見てみると、大体同じような印象であることに気づきます。
初心者さんは、このデザインから離れたものを目指そうとします。実はこれが間違いです。
検索結果1ページ目のデザインは、まさしく売れているデザインです。売れているデザインには、「決まり=ルール」があります。
整体院のホームページなら、まず店舗へアクセスするための情報は欠かせません。目立つところに予約用の電話番号があり、店舗の所在地がどこにあるかすぐにわかるようにしておく必要があります。
整体院のお客様で特に女性の場合なら、だれが自分の施術をしてくれるのか人柄や技術は一番の関心です。スタッフの顔写真と共にプロフィールを掲載するのと一緒に実際に施術を受けたお客様の声も見せることで信頼を得られます。
保険が適用されるかどうか、初診のときの持ち物などもわかるといいでしょう。
こうした定番ともいえる情報がわかりやすい場所に配置されていることが、ホームページの訪問者を迎えるための前提です。
それから、自身の店舗ならではの強みをデザインとして表現するという順番です。決して先にデザインだけで差別化を狙わないよう注意しましょう。
インパクトは見た目では付けられない
こんな求人広告があったとします。
週休2日! 1日8時間勤務! たまに残業あり!
よほどブラック企業に勤めていた人であれば別ですが、普通の求職者にとってはまったく刺さらないキャッチコピーです。これをいくら目立たせても、インパクトのあるデザインにはなりません。
実は、インパクトが付けられるかどうかはデザインする前に決まっています。デザインとは、表現の手段や工夫のことで、先に表現したいことがあるのですね。
つまり、もともと表現したいことが普通であれば、いくらデザインで工夫しても結局は見ている人には刺さりません。
先の例がもし、「週休4日 1日8時間の在宅勤務 勤務時間はお任せします」という独自性のある待遇であったとしたら、デザインとして表現する価値があります。
だからまずはライバルのホームページ10社ほどを検索し、デザインで表現されている中身をあなたと比較してみましょう。いくらデザインだけを他社より目立つように作っても、中身で差別化できていなければ、結局は勝てません。
究極をいえば、デザインがなくても差別化できるほどにビジネスモデルやサービス・商品の特長を練り込むのです。その練り込みが最終的にデザインの差別化も生むのですね。
ホームページのデザインを考える上で重要なのは「ユーザー視線」
いままで挙げた、「おしゃれ」、「差別化」、「インパクト」で失敗せずに、売上に結びつくデザインを実現するのに大切なことをまとめると結局は「ユーザー目線に立つこと」という一言へ行きつきます。
ホームページを訪れる人が何を求めているのかを、ユーザーへ寄り添い考えると最適なデザインが見えてきます。
実はプロのウェブデザイナーもよく失敗をします。自分のセンスや技術を試したく、アニメーションやスライドショーを取り入れ、ファッション雑誌のようなレイアウトのページを作ってしまうわけです。
作り手の「したいこと」を独りよがりで実現したデザインが、ユーザーにとって使いやすいわけはありません。アニメーションやスライドショーのせいで表示が遅く、お問い合わせしたくても電話番号がどこにあるか見つかりません。
こうしたデザインは、お客様を受け入れる準備ができていません。「ホームページの目的=売上アップ」へ結びつくわけがないのです。これは、ユーザー視線に立つことさえできれば、防げる失敗です。
ウェブ制作業者に依頼する場合は、ウェブデザイナーとのコミュニケーションを大切に
ホームページの作成を検討中の方々には、自分で制作するのではなく、業者に依頼するという方もいらっしゃると思います。この記事を読む方には、そっちのほうが多いかもしれませんね。
業者へ依頼する場合、ホームページのデザインはウェブデザイナーが担当します。中にはウェブデザイナーのデザインに満足できず修正の希望を伝えたくなることもあるでしょう。というか、制作途中の修正は必ず起こります。
そこで大切にしてほしいのは、ウェブデザイナーとのコミュニケーションです。
ウェブデザイナーは、細かなところも含めデザインの各所すべてに意図を込めています。
例えば、余白の大きさ。余白があると、そこに情報を詰めたくなるのが一般の人の考えです。しかし、デザイナーはあえて余白を付けるテクニックで、情報の強調を表現していることがあります。
他にも写真の上に文字を乗せるときなども、わざと画像を暗くぼかすことで表面の文字を際立たせるテクニックをつかっていることがあります。そこで安易に画像をもっと目立たせてほしいと修正すると、本来の意図であった、文字を際立たせるという効果を失ってしまいます。
こうして細々とした修正の要望をお客様の方からウェブデザイナーへ伝えていくと、最終的にデザイナーの意図は完全に失われ、確かにお客様の要望通りのデザインにはなりますが、効果の出ないデザインへなってしまいます。
こうした失敗を防ぐためには、お客様とウェブデザイナーの間で綿密なコミュニケーションを取ることです。
ウェブデザイナーのデザインを一方的に受け入れることはありませんよ。お客様の要望はしっかりデザイナーへ伝え、そしてウェブデザイナーの意図も知った上で、どのような効果を狙ってデザインしていくのかをお客様とデザイナーの双方で共有しながら進めていくのです。
その結果が効果的なデザインです。
ホームページのデザインで失敗しないために
ホームページを作るとき、制作会社の実績や事例、また、ウェブデザインのギャラリーサイトを見ていると、独りよがりに見た目の良ものに目が向きがちです。
しかしホームページのデザインを考える上で重要なのは、なによりも「ユーザー目線」であること。自分で作る場合も、業者へ依頼する場合も、ホームページを訪問するお客様の気持ちになって、どんなデザインが良いのかを考えれば、失敗することはありません。